【WCS2019 Ultra Series】 ブレイブルナレック | 世界大会Day1予選使用 (6-3)
構築紹介(SDテキスト)と導入
こんにちは、Lacquer(@is26yk)と言います。アクセスありがとうございます!
今回はSNOWさんの「ルナレックツンデ」を参考に僕でも回しやすいようアレンジした構築(SDテキスト / Link to Paste)を紹介します。某down! では過去最高のGXE84.3%と共に1位を取れたこともあり、相応の完成度に仕上がったと思っています。
Record | Country | Name | Team |
---|---|---|---|
6-3 | Alister Sandover |
また、今年は世界大会のDay1から出場するKeiさん(@vivalavlade)に本構築を提供しました。
彼は最終ラウンドの9試合目で負けてしまい惜しくもDay1予選落ちとなってしまいましたが、それでも6-3という素晴らしい結果を残してくれました‼️
戦績
- WCS2019 世界大会 Day1 6-3
- Showdown! レート1位(1874 / gxe 84.3%)
ケイさんに1-2から6-2まで駆け上がってもらった「ルナレックウォーグル」です。凛さんに負けてしまいDay2には行けませんでしたが、彼のお陰で今年も良い構築記事が書けそうです!
— Lacquer (@is26yk) 2019年8月17日
ケイさん含めて皆さん、Day1予選お疲れ様でした‼️
明日以降、Day2がある方の応援に徹します! https://t.co/k9eWUVaQI1
PinkNihilegoは僕でした、某down! ではお世話になりました() pic.twitter.com/eQDo68b4Mz
— Lacquer (@is26yk) 2019年8月17日
構築経緯
ルナレックツンデとの出会い
世界大会に向けて日食ネクロレックを練っていくなかで、選出がトリル寄りに凝り固まりやすく柔軟な動きが取り辛いことと、ルナアーラやオーガレックの対処に難があることに頭を抱えるようになりました。そして、トリル要員の日食ネクロの動かし辛さや、脱出ガエン、水Z型のレヒレにこれらの原因があるのではないかと考えました。
そこでまず、ネクロ同様トリルを覚えられ、さらにそれ無しでも動かせる素早さを持つルナアーラに着目(ソルガレオでない理由は単純に自分に扱える代物ではなかったから)。
久々にルナアーラを使うということで、通りの良い専用Zを持たせてその使用感を確かめたい……。このことも相まって、ルナと選出が被りがちなレヒレに水Zを持たせていた日食ネクロレックとは距離を置くことにしました(脱出ガエンともここで縁を切ります)。
メガレックウザ特有の強さと使い勝手を手放す訳にはいかなかったことから、手始めとして、SNOWさん(@BlueYossi)がPJCS本選に持ち込まれた「ルナレックツンデ」の構築記事を読み、早速PokePasteを使って某down! に潜ってみました。
Meさん式ゼルネレックと日食ネクロレックを通して鉢巻レック+トリルの扱いに慣れていたため、すぐさま勝てるようになり某down!のレートも上昇。
そんな中でBo3 Cup Summerの前日、ソルガレックの練習をしていたカ・エールさん(@hirosipoke)と久々にSDでマッチングしました。
(どうせカエールさんのことだし、ルナアーラ入りにはガエンレヒレから投げてくるに違いない。)
そう思い剣舞ミミッキュから入る先発にしたのですが当然通用せず。裏のソルガレオが重くなるのは目に見えていましたし、その他諸々から見ても完全に悪手でした(カ・エールさんとの試合はこちら)。
(俺が下手クソなのもあるけど、やっぱりガエンレヒレめちゃくちゃ重いな……。)
こうしてSNOWさんのパーティにアレンジを加えることを決めました。
新メンバーの追加
前述の通り、ガエンレヒレから投げられると、壁やバクアで耐久面を整えられ、ルナZの通りが非常に悪くなりますから、ルナアーラを先発に置くのは心細いです。これを解決するため、試行錯誤している最中、あることに気が付きます。
(威嚇に誤魔化されることなく、確実に対面でガオガエンをしばくだけの圧力のあるポケモン……。これが今のパーティには一匹もいない。)
そうこうしている内に頭に浮かんできたのがこのポケモン。
- ガオガエンに特性の負けん気+馬鹿力で選出段階から圧力を掛けられるウォーグル。追い風によるサポートをこなすだけでなく、中速ルナアーラが苦手とする相手のルナアーラに後出しすることもできます。さらに、メガレックウザのデルタストリーム、乱気流とも相性が良い点も高評価です。
また、元々のSNOWさんのパーティは、バレルやドーブルといった催眠要員に苦戦しやすいという弱みや、ルナアーラのミラーに不安を抱えているようにも感じました。そこでカプ・コケコに着目。
- エレキフィールドを展開して催眠を防げるほか、構築的に重めな水タイプやイベルタルに大きい打点を持つカプ・コケコ。フリーフォールを覚えさせておくことで、ルナアーラのミラーマッチにも対応しやすくなったり、レックウザの剣舞(詳細は後述)を積むための起点を作ったりできます。
レックウザの型の変更
レックウザには鉢巻を持たせて運用する程の脳筋プレイヤーだったのですが、環境にメガガルーラやルナアーラが増えていたことを受け、耐久性能を高め、それらを起点にできるピンチベリー持ちの剣舞型に変える案をケイさんに持ち掛けました。これのお陰でオーガレックやルナアーラ入りのパーティをはじめ、様々な構築相手により柔軟な動きを取れるようになりました。
個別解説
Rayquaza-Mega @ Aguav Berry
Ability: Delta Stream
Level: 50
EVs: 252 HP / 28 Atk / 4 Def / 84 SpD /140 Spe
Jolly Nature
- Dragon Ascent
- Extreme Speed
- Swords Dance
- Protect
- A:
- 余り
- 215-142ゼルネアスに画竜点睛が45.1%〜53.4%
- 201-136原始カイオーガに画竜点睛が50.7%〜60.1%
- H-D:
- 207ルナアーラのムーンライトブラスターを確定耐え
- 189ルナアーラのシャドーレイが38.6%〜45.7%
- 182カプ・テテフのムーンフォースが71.6%〜84.9%
- 231原始カイオーガの冷凍ビームが乱気流補正込みで54.7%〜66%
- S:
- 最速100族抜き
ピンチベリー込みの耐久を生かし、特定の相手を前にしたときや、起点が生まれると判断したときに剣舞を積みます。また、ガエンやルナアーラ、コケコによるダメージの蓄積した相手を神速でスイープしたり、天候をグラカイから奪い返したりする役割も持ちます。
タイプ一致で通りの良い画竜点睛、神速、コンセプトとなる剣の舞、そして盤面を整えるための守るで技は確定。
耐久調整についてですが、ルナアーラやガルーラを中心に焦点を絞って考えたため、ゼルネのムンフォやコケコのZマジカルシャインを耐えるようなHD極振りのものは避け、HPとSに多くの努力値を割きました。しかし、殆どAに振っていない陽気個体、つまり前文で述べた役割を果たすためだけに特化した調整となっているため、運用するうえでしっかりと状況の判断をしたり、ダメージ感覚を身に付けたりする必要があります。
Lunala @ Lunalium Z
Ability: Shadow Shield
Level: 50
EVs: 124 HP / 76 Def / 252 SpA / 4 SpD / 52 Spe
Modest Nature
- Moongeist Beam
- Ice Beam
- Trick Room
- Protect
- C:
- 極振り
- 207-181原始カイオーガにムーンライトブラスターが62.3%〜73.9%
- 207-130原始グラードンにムーンライトブラスターが86.9%〜102.8%
- 175-142メガボータンダを冷凍ビームで確定一発
- 208-148メガレックウザ(乱気流補正無し)に冷凍ビームが92.3%〜109.6%
- H-B:
- 255メガレックウザの鉢巻噛み砕くが84.2%〜100%
- 165ガオガエンの-1ハイパーダーククラッシャーが82.4%〜98.2%で確定耐え
- S:
- 追い風下で最速スカーフテテフ抜き
Twitterのアイコンのイラストに恥じぬようしっかり活躍させることができました、ルナアーラです。通りが良く瞬間火力の高いルナZ、重要なS操作のトリル、そして特性のファントムガードにより対面での強さと場の操作に長けています。また、ウォーグルという相方を手に入れたことで、先方のガオガエンに臆することなく動かすことができました。
ルナZの元となるシャドーレイ、トリックルーム、守るまでは確定として、残り一つの技枠に何を入れるべきか。これはDay1予選の直前まで悩みの種でした。
最もメジャーであろうサイコショックは、ウツロイドとゴースト技の通らないノーマルタイプのみを役割対象とすることから、その必要性をあまり感ぜられず、採用には至りませんでした。
そして、カイオーガを前にしたときに、ガエンの蜻蛉返りやレックウザのガエンへの素引きをし易くするためのワイドガードか、ゼルネのジオコン対策の吠える、追い風、凍える風などの技が候補に挙がりましたが、最終的には冷凍ビームを選びました。これは、SDのみならず、世界大会でも耐久振りレックウザが増えることを見越したものです(使うときは味方のメガシンカ前レックのエアロックで乱気流補正を打ち消す)。副産物として、ボーマンダやランドロスだけでなく、イベルタルやアローラペルシアンにまで手を出せるようになり、味方との集中砲火の掛け方、手数を増やすことにつながりました。
なお調整は、SNOWさんの構築記事からそのまま頂きました。本当にありがとうございました。
Braviary @ Iapapa Berry
Ability: Defiant
Level: 50
EVs: 244 HP / 28 Atk / 108 Def / 124 SpD / 4 Spe
Adamant Nature
- Brave Bird
- Super Power
- Tailwind
- Protect
- A:
- H-B:
- H-D:
- 179ウツロイドのZパワージェムが乱気流補正込みで69.9%〜82.5%
- 202原始グラードンの晴れ75%噴火が83.4%〜99%
- 231原始カイオーガの75%潮吹きが64%〜75.7%
- 231原始カイオーガの雨75%根元の波動が69.9%〜83%
- 147カプ・コケコのフィールド補正込みボルトチェンジが乱気流補正込みで37.8%〜44.6%(2発目でピンチベリー発動)
- 147カプ・コケコのフィールド補正込み10万ボルトが乱気流補正込みで49.5%〜58.2%
- S:
- 追い風下で最速130族抜き
昔から愛用してるポケモンのうちの一匹、ウォーグル。前述の通り、その特性負けん気でガエン等の威嚇要員の選出を大きく抑制する、もしくは対面でガエンを倒すのが最大の務めであり、これによってルナやレックを動かしやすくなります。耐久面では、相手のルナZを透かしたり、乱気流込みで様々な攻撃にも対応できたりする点が長所となるため、ルナレックの組み合わせによく噛み合います。
なお、相手が初手にモロバレルを投げてくる場合、ウォーグルの刺さりはあまり良くない(バレルの隣のポケモンの展開に対応するため、ルナのトリルを選択するのが定石となるのだが、このときバレルの胞子が止まらなくなる)ので、バレル入りには選出を控える傾向にあります。
技は、ピンチベリーの発動を調整するメインウェポンのブレイブバード、ガエンやツンデに撃つ馬鹿力、主要なS操作技の追い風、隣をガエンやレックウザ等に切り替えるまで安全にやり過ごすための守るの4つ。
なお、相手のガエンに馬鹿力を撃つときは、裏のフェアリータイプや原始グラードン、メガレックウザ、ルナアーラ等に受け流される恐れがあるため、やや不安定な択となります。
ウォーグルの調整は、EMOLGAME掲載のこちらの構築記事からそのまま頂きました。ありがとうございました。
Incineroar @ Figy Berry
Ability: Intimidate
Level: 50
EVs: 252 HP / 20 Def / 236 SpD
Careful Nature
IVs: 29 Spe
- Flare Blitz
- Snarl
- U-turn
- Fake Out
猫騙し、特性の威嚇、そして蜻蛉返りにより自分の操作しやすい盤面を作るのに欠かせないポケモンです。タイプ相性補完を取れている点も長所と言えます。
草タイプ等に撃ったり自主的にピンチベリーを発動させたりするフレアドライブ、コンセプト上必要な蜻蛉返りと猫騙しは確定とし、今回はバークアウトを4つ目の技枠に加えました。日食ネクロレック等のように脱出ボタンを持たせておらず、ガエン自身が場に残りやすいこと、そして火力を求めてDDラリアットや叩き落とすを採用するより、味方の特殊耐久を高められるバークアウトの方が有用だと考えたからです。
持ち物は、原案の突撃チョッキではなく、グラードン等の物理アタッカーに後投げから威嚇を入れたい場面が多かったため、物理耐久まで高められるピンチベリーにしました。
調整は、特殊耐久を極力高め、また、ウォーグルの追い風下で最速90属の先に蜻蛉返りを撃つことができ、なおかつ相手のガエンとの素早さ関係をはっきりさせるため、S個体値(29)を弄ったものです。
Tapu Koko @ Assault Vest
Ability: Electric Surge
Level: 50
EVs: 212 HP / 4 Atk / 4 Def / 100 SpD / 188 Spe
Jolly Nature
- Wild Charge
- Volt Switch
- Nature's Madness
- Sky Drop
- A:
- H-D:
- 207ルナアーラのムーンライトブラスターを確定耐え
- 189ルナアーラのシャドーレイが38.9%〜45.9%
- 202原始グラードンの大地の力が74.4%〜88.3%
- 231原始カイオーガの雨補正込み75%潮吹きが79%〜94.1%
- 176ゼルネアスのオーラ込みムーンフォースが45.3%〜54%
- S:
- 最速120族抜き抜き
敵の体力を削ぎルナレックで縛れるように調整したり、フリーフォールで敵の妨害・味方の援護をしたりします。また前述のとおり、イベルタルやカイオーガ、レヒレへの貴重な打点を持つポケモンです。
役割対象がD方面に厚い個体が多いことからワイルドボルト、盤面操作とダメージを蓄積させるボルトチェンジ、避雷針に妨げられることなく敵の体力を削れる自然の怒り、そしてフリーフォールを採用しました。
持ち物は、イベルオーガやルナアーラ等からの攻撃に満を持して耐えるための突撃チョッキ。これにより場持ちをよくし、徹底的に相手の体力を削る(ルナレックに繋げる)ことに専念することができます。
調整は、控えめルナアーラの専用Z確定耐えと最速120族抜きを抜くことをメインに意識。特にメガボーマンダについては、コケコに先に倒して欲しい場面が多かったため、後攻ボルトチェンジをするためにSを落とすようなことはしませんでした。
Stakataka @ Safety Goggles
Ability: Beast Boost
Level: 50
EVs: 244 HP / 252 Atk / 12 SpD
Brave Nature
IVs: 0 Spe
- Rock Slide
- Gyro Ball
- Trick Room
- Substitute
僕の大好きな、そしてVGC2018からお世話になっているポケモンです(今年も一緒にやれて良かった)。ゼルネアスを軸とした展開に大きく切り返せる身代わり持ちの個体であり、トリルに引きずり込んだ後、ガエン等の猫騙しや威嚇要員に誤魔化されない点で非常に強力でした。また、持ち物の防塵ゴーグルのおかげで、モロバレルによる干渉も受けないため、対ゼルネ性能は凄まじかったです。
技は、イベルやガエンなどに有効であり本構築では希少な全体技の岩雪崩、最高火力のジャイロボール、トリル下での制圧力を高めたり、トリルが切れる直前に選択したりする身代わり、そしてトリックルームの4つに決まりました。
持ち物の防塵ゴーグルですが、相手のモロバレルを見てコケコを連れていくと、地面弱点が被ったり選出単位で耐久面に穴が空いたりするため、ツンデツンデ単体でもバレルに対応できるよう選択しました。
調整は、ルナZ耐え、もしくはルナZ+ゼルネのムンフォ耐えまでDを高めるものも考えましたが、イベルタル等への削り方を妥協できずHA特化にしました。
選出
本構築では、特定のアーキタイプに対する個別具体的な解説が細かく長文になります。そのため、今回は基本選出の解説のみとさせて頂きます。ご了承のほどよろしくお願いいたします。
基本選出1
先発: +or
後発: , , or
ルナウォーグル、ルナガエンを並べる本構築における基本的な投げ方です。
ルナZで初手から圧力をかけ、後発のレックウザやツンデの確定圏内に押し込んでも良いですし、トリルの刺さりが目立つようであればいきなり起動にかかるのも良いです。また、ルナアーラをウォーグルと並べているときは、2体とも中速で追い風にもトリルにも合わせられますから、相手の先発を見て使い分けることができます。
また試合の中盤からは、削れた相手をレックウザやコケコ、ツンデで落としたり、対面の圧力からレックウザで剣舞を選択できたりするタイミングが現れるので、うまく後発を展開できるよう意識します。
基本選出2
先発: +, or
後発: +or
隣のポケモンでメガレックウザの初手剣舞をサポートする投げ方。ウォーグルをレックウザの隣に置いた場合、乱気流で耐性を強化しつつ、追い風を起動して後発のルナアーラの圧力まで高めることができます。
後発のルナやツンデのスイッチトリルにより、一気に流れを引き寄せる動きに切り替えられる点が当選出最大のポイントとなっています。
さいごに
某down! (程度かもしれませんが) でほぼ敵無しと言えるほどの最高傑作を握っても、それをプレイング含めて、実際に使ってくれる選手にどのように伝えるか……。実機が使えない僕にとっては、まずこれを解決できなければ、VGCをやっていることに意味はありません。
世界のプレイヤー相手に自分の考えがどれほど通用するかを確認するためには、どうしても欠かせないプロセスだからです。
しかし、ケイさん持ち前のプレイングや感覚、実力に加え、周囲の方々の手厚いサポートにより、構築の強さを伝えるにはそう苦労しませんでした。むしろルナレックの完成度をより高めてもらいましたし、何より今年も十分過ぎる成績を世界大会にて示してもらいました!
ケイさんをはじめ、皆さん本当にご協力ありがとうございました!
では、ここら辺でお開きにしたいと思います、最後まで読んでいただきありがとうございました。