Volt Switch!!!

【WCS2018】 雨サナツンデ | 世界大会34位 Day2 (4-3)

はじめに

VGC2018の構築記事を出すのは今回が初めてになります、Lacquer(@is26yk)と申します。かなり長い文章です、目次のリンクから気になる所へ飛んでお読みください。

今回の構築「雨サナツンデ」はいわゆる雨パーティですが、他の方が公開している雨パの構築記事とは異なる、やや奇抜なメンツを取り入れたものですので楽しんでいただけるかと思います。

本構築は、今年の1月、オーストラリア在住のVGCプレイヤーAlister Sandover選手(@vivalavlade ―以下ケイさん)に提供したものです。

彼は各国の大会でこのパーティを使用し、WCS2018のDay2予選へ招待されるのに必要なCP数(アジア太平洋地域にて3位)を獲得しました。さらに、世界大会直前の大規模な大会(北アメリカインターナショナル)でも好成績をとれたことを踏まえて、Day2でも引き続き使用してもらい、世界ランク34位(4-3)を修めてもらいました!

RankRecordCountryNameTeam
344-320180828191127Alister Sandoverf:id:ykhr7:20180828190236p:plainf:id:ykhr7:20180828190247p:plainf:id:ykhr7:20180828190306p:plainf:id:ykhr7:20180828190324p:plainf:id:ykhr7:20180828190341p:plainf:id:ykhr7:20180828190421p:plain


それゆえ戦績の殆どがケイさんのものであり、自分のものではありません(自分はINC Marchを迎える前に実機と本ロムが再び使えない環境に置かれてしまったため、それ以後は完全にケイさんのサポートに回っていました)。

なお、情報が漏れる(特に海外勢に知られる)ことを避けるため、僕がこのパーティを使って Showdown! に潜ったことは一度もありません。




使用者ケイさんから

はじめまして、ケイ([twitter:@VivaLaVlade])と申します。1月にラッカーさんに雨サナツンデの構築の詳細と立ち回りについて丁寧に教えて頂き、同月に開催されたシンガポールオープンから世界大会まで色んな公式大会で雨サナツンデを使用させて頂きました。雨サナツンデを使用した大会で800cpを稼げたことは、Day2の出場権を獲得できた大きな理由だったと思います。ですから、まずはラッカーさんに感謝の言葉を申し上げたいと思います。改めて本当にありがとうございました。
ちなみに私は1月に渡されたときのサーナイトの配分、H252/B140/C116、この使用感を気に入り今シーズンほぼそのままで使用していました。しかし、Dに振ることによって対雨ミラー、テテフリザYなどへの安定感が湧いてくることに気付き、世界大会に向けてDに振った配分で行くことにしました。
この構築は雨展開だけでなく、サーナイトによるトリックルーム展開もあり、戦術の選択肢が増えたということでBo3にも向いていると思います。オセアニアICが終わった時期に雨サナツンデが勝てる希望が薄くなってしまったが、威嚇ガオガエンの解禁によって強化されたと考えられます(詳しくはブログ後半で)。今年の大会で当たったまともな構築の中で、勝てる気がしなかったのはカエールさんのリザYカビクレセ構築だけがあげられます。それ以外であれば、マンダツルギトドンであろうが、テテフグロスバンギトドンであろうが、無論厳しめな相手ではありますが、プレイング次第で勝てると思います。というわけで、雨サナツンデはWCS2018ルールの一つの強力な構築であり、世界大会に持っていくことは間違ってなかったと信じています。
他にあげられる雨サナツンデの魅力的なポイントは、個人的にコケコの型だと思っています。コケコの役割は、主にボルチェンで削りながら有利な盤面を作ること、そして終盤のスイープであるということから、10万ボルトやかみなりを入れる必要がなかったという発想が天才的だと思っています。また、NAIC(北米国際大会)で雨サナツンデにとって重い耐久型ツルギ(特に草Z 持ち)の増加を感じて、これを縛れたり、初見殺しできたりするめざパ炎を世界大会に向けて入れることにしました。本番で3回ツルギを狩れたので、この選択は正解だったと思います。一方、それまで採用していたエレキボールのおかげで助かった盤面(対カビゴンナットレイなど)も何回もあったので、環境次第で変更するのが良さそうです。
最後に世界大会で自分にとって少し残念な結果(3連敗からの4連勝)で終わってしまいましたが、全力で頑張ったので悔いはありません。今シーズン全体からみて、雨サナツンデを使用した時の勝率が良かった、そして今まで5年間WCSルールに取り組んできたなかで最も使いこなせたパーティなので、ラッカーさんと共に戦えて本当に良かったです。



目次とサムネイル画像

※繰り返しますがかなり長い文章です。目次から気になるところへ飛んでお読みください。



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簡略版記事の紹介


hazemomizi.hatenablog.com

あまりにも本記事が「長文で読み辛い!」という方のために、パーティコンセプトと個別紹介だけをざっくりまとめたものです。



構築紹介とSDテキスト


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【Until NAIC: Link to Paste
【WCS2018 DAY2: Link to Paste

※なお個人的な都合上QRパーティは用意していません。ご理解よろしくお願いします。

※NAICとは北アメリカインターナショナルという、世界各国からVGCプレイヤーの集う大規模な海外の公式大会(世界大会直前の7月開催)のことです。




戦績 / Results


f:id:ykhr7:20180719232801j:plain


※PJCSや赤字以外の大会結果についても
Trainer Tower | Your Journey to the Top
VGCStats
などから確認することができます。



(↓北アメリカインターナショナル)
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(↓WCS2018 Day2)
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パーティコンセプト

勝海さん([twitter:@Kaaaaatsumii])から教わった雨ビートダウン(メガラグラージ+ペリッパー+ルンパッパ+コケコ)と、メガサーナイト+ツンデツンデを絡めたトリル展開の2つを相手のパーティや選出に応じて使い分けます。もちろんサーナイトを雨追い風展開に組み込むこともあります。
水技を通すか、サーナイトのフェアリー技を通すか。両者ともに通りが良く火力もあります。

サーナイトが苦手とする環境トップのメガメタグロスメガリザードンYに雨展開が強い一方、雨パの苦手なメガボーマンダ軸やナットレイカミツルギにサナツンデの並びが比較的強く出られるという仕組みです(等倍で通る火力の高い物理技は受かりませんが、立ち回りで誤魔化しています)。

~詳しくは"選出"の項目へ~




作成経緯


パーティ原案について

昨年の12月頃、勝海さん([twitter:@Kaaaaatsumii])がSDで1位を達成された構築の改良をTwitter上で呼び掛けていました。それを見てパーティの原案を教えてもらったのが本構築作成のきっかけです。

「初期のメンバー」f:id:ykhr7:20180517052804p:plainf:id:ykhr7:20180517052829p:plainf:id:ykhr7:20180517052840p:plainf:id:ykhr7:20180517052848p:plainf:id:ykhr7:20180517052940p:plainf:id:ykhr7:20180517052906p:plain

原案のメンバーのうちメガクチートゴチルゼルが見せポケということだったので、その2枠の改良を考えることになりました。


原案の特徴など

数人のプレイヤーが勝海さんからもらった原案を元にして作った雨パーティの記事を公開しているため、今では目新しいものではないかもしれませんが、原案を教えてもらった当時の自分はこれらの点を斬新に感じました。

  • ルンパッパの冷凍ビームを切り守るを採用
  • メガラグラージのサブウェポンに冷凍パンチ(後述の限界雨のイメージが強すぎて岩雪崩がメジャーかと思っていた)を採用
  • コケコが眼鏡エレキボール型



www.emolgame.jp
また雨パーティと言うと上のパーティのイメージがあり扱うのが大変苦手でした。しかしこの「限界雨」と比べ、原案には以下に挙げたような強みがあり、とても回しやすかったです。

  • 対ジャラ、他天候性能がボルチェンを覚えたコケコを入れることで向上
  • 対雨パとして有効なメガガルーラ+ギルガルドの並びに守るルンパッパが刺さる(身代わり採用のギルガルドは依然怪しい)



一方しばらく回してみたところ、原案において次の問題点 が浮上してきました。

  • 当時流行り始めていたバンギ入りのレヒレグロス軸、テテフグロス軸に苦戦しがち。前者のパーティにはバレルが加わることが多く、砂下でそれを処理するのが難しい。また後者のパーティには特性呼び水を持つトドンが加わることが多く、水Zを使用するまでにワンテンポ遅れがち
  • 当時散見されたクレセによる日本晴れトリルが厳しい
  • 基本的にペリルンパラグコケコで選出するため、一度トリル展開を決められるとナット、カビゴン、レヒレの処理が難しい。またトリルを起動されるのを防ぐ手段が火力で押し込む程度
  • 雨パのミラーマッチ、特にキングドラ入りの雨パに苦戦しがち
  • ライボルトコントロール系に避雷針をちらつかされるとコケコが動かし辛い
  • 同上の理由でリザYとトゲデマルの並びの処理も厳しい
  • 対砂パーティにおいて、(そもそも悪手だが)ペリを後投げして雨天候に変えたとしても、メガラグがドリュウズに1ターン目の初速では負けるので地面zで上から飛ばされるか、そこから転じてラグの守るを読みドリュウズに身代わりを張られるかなどの択になり安定しない



アレンジへ。サナツンデについて

先で挙げた点のいくつかはコケコの技やメガラグの調整を変えて解決できたものの、依然厳しいものが多かったです。
残りの2枠を考える過程で、HBウツロイドハッサムガマゲロゲ、ブルル、両刀ランドロスギルガルドトルネロスヒートロトムナットレイ、雨乞いメガボーマンダカミツルギガオガエンなど色々と試しましたが、最終的な案は以下の2つに絞られました。


2018082215520720180822151717

1つ目がこちら。HDに大きく割いたメガボーマンダには対雨ミラーとリザY、草タイプを、鉢巻ナットレイには対雨パとトリルを任せています。また2匹ともにペリルンパコケコと比べて耐久値と耐性に自信があるため、サイクル戦もある程度こなせるようになります(参考記事: ワイルドさんの「現実雨」)。


2018081818493320180822151839

雨展開とは大きく異なるトリル展開を設けています。雨パの天敵であるナットレイのほか、カビゴンをもトリル下で上から一撃で葬れる格闘Zツンデツンデに目を付けたのが始まり。また不毛な雨ミラーマッチを制するのにあたり、積極的にトリルを狙うことが有効に働くと考えたのもサナツンデ作成に至るきっかけとなりました。
元々はツンデ自身にトリックルームを覚えさせていました。しかし、弱点となるタイプにはメジャーかつ高火力の技が揃っているため、トリル起動前に落とされることが多かったり、トリルアタッカーがツンデ一匹だけであった(サーナイト採用前はボーマンダを入れていた)ため、かかる負担が大きくトリルを活かし切れなかったり……。これらの問題点を踏まえた結果、トリル起動役(兼トリルアタッカー)を別のポケモンに任せようと考えました。
その肝心のトリル要員の決め方ですが、トリルを抜いたことでツンデの余った技枠にサイドチェンジを組み込もうとしたところから考え始めました。ツンデがいくら遅いポケモンであるとはいえ、優先度のついたサイドチェンジを持たせておくことで、非トリル状態でも先手を取って味方のサポートが可能になる場面を作れると考えたからです。さらに以下に挙げたような要素を満たすポケモンを探した結果、メガサーナイト(メガシンカ前の特性はテレパシー)に辿り着いたという訳です。

  • トリル要員である
  • ツンデのサイドチェンジを考えた時に横のタイプ相性補完が優れている
  • ツンデとは逆にDの数値が高い
  • 雨パのミラーマッチ戦においてトリル展開が期待できるだけの耐久値を確保できる
  • トリックルーム下でレヒレの上を取り、ツンデのジャイロボールとの連携で落とせる
  • 全体技を持つ
  • メガラグを選出しづらいトリル下では火力不足に陥りがちという欠点を補うため、火力のあるメガシンカ枠である
  • ツンデの苦手なバレルやジャラに大きい打点を持つ
  • ボーマンダに大きい打点を持つ
  • いざという時にコケコの放電に巻き込める味方がラグ以外に欲しい
  • 追い風展開でもラグの代わりに選出できる素早さを持つ

雨パーティとしてはメジャーで動かしやすいマンダナットを採用しようかと当初は考えました。しかし、雨展開とは大きく性格が異なるトリル展開を設けた方が自分にとっては扱いやすい、そして不意をつき相手の算段を狂わせることで勝ち試合に繋げやすいと考えてサナツンデの並びを選びました。また、ケイさんの参加する海外の大会は、予選からBo3で勝ち上がらなければならないのですが、追い風と雨の展開一筋かつビートダウンの性格が色濃く残るマンダナット入りでは、それをなし得ないと判断したのもあります。




個別解説



メガラグラージ


20180808120928
ラグラージナイト
すいすい
意地っ張り
193-222-130-×-130-105
140-252-×-×-×-116 (努力値)
滝登り
地震
冷凍パンチ
守る

流行りのカプ+グロス構築やメガゲンガー、雨パの天敵バンドリマンダに比較的強いポケモン。そして、本来物理アタッカーの火力を削いでくる威嚇枠のランドロスガオガエンが雨パーティ相手に選出され辛いことを受け、高い火力を維持しやすい点が評価できます。ただ、このパーティには浮いているポケモンペリッパーだけであるため、撃てる場面がやや限られる地震は良くなかったかもしれません。しかし、使用できる全体技のレパートリーが少ないパーティということを考えると、地震を単体技の地団駄に変更することはできませんでした。また、メガシンカに伴う素早さ変化の判断仕様が大きく変わったことにより、過去作と比べてかなり扱いやすくなりました。
以前はドリュウズの地面Zやバンギラスの悪Z、ギルガルドのゴーストZを確定で耐えてくれる程度の配分を取っていました。しかし当時(USMのWCSレートのシーズン7)アギルダーがやや多かったので、その命懸けを耐えられるところまでHPに努力値を割きました。その後、せっかくそこまで振るのであればということで、最速スカーフウルガモスギガドレインムクホークの命懸けまで耐えられるようにもう少し厚くしました。
素早さは後述のメガサーナイトと同じく雨下で最速135族抜き、そして最速スカーフ75族(主にカプ・ブルル)抜き。トリル展開を別に設けてある以上、雨展開で相手をしたいパーティの幅が狭まり、準速にまで引き上げる必要を感じなかったのでこのような素早さ調整となっています。
また、このポケモンの拡散地震がHP252振りレヒレに最低でもおよそ4割 (38.9%〜46.3%) 入るので、それをよく意識してレヒレにダメージを蓄積させていました。なお先述のレヒレのほかメガボーマンダなどへのダメージ量を確保するためにA努力値は削れません。


メガラグラージ (Day2)


20180808120928
ラグラージナイト
すいすい
意地っ張り
179-222-131-×-131-118
28-252-4-×-4-220 (努力値)
滝登り
地震
冷凍パンチ
守る

雨パーティ相手でも、ラグラージの火力さえ削げば問題ないパーティにDay2で出くわすかもしれないと考え、最速スカーフランドロス抜きまで素早さを高めた形です(実際にスカーフランドロスはいたが当たっていないか)。下手にランドに上を取られてとんぼ返りからの威嚇サイクルを許すと、流石のラグラージも簡単に腐るため、この変更は悪くなかったと思っています。また、ギルガルドのゴーストZを耐えられる可能性をなるべく高めようとHPに残りの努力値の多くを割きました。対リザY性能を高めるため、冷凍パンチを岩雪崩に替えようかと検討したときもありましたが、対(テテフ)レヒレグロスの際にバレルやサンダーの処理が重たくなるため取り止めました。




ペリッパー


20180722115201
気合いの襷
雨降らし
控えめ
135-×-120-161-91-117
×-×-×-252-4-252 (努力値)
塩水
暴風
追い風
守る

隠れた大技、塩水。ポリ2やクレセといった耐久のあるポケモンに対しても、残り体力が50%以下であれば高火力を叩き込むことができます。
「雨サナツンデ」はトリックルームを起動する機会が多いのですが、このことを踏まえると、同じ雨始動要員でも素早さが低いニョロトノを採用した方が良さそうに思われるかもしれません。しかし、パーティ内に浮いているポケモンがいないこと、モロバレルカミツルギなどの草タイプへの打点が不足しがちであること、そして雨展開で試合を運ぶ際、こちらに追い風がないと相手のS操作技への切り返しができなくなることを避けるため、ペリッパーを原案に引き続き採用しています。雨選出には基本的に上から畳み掛けるビートダウンの動きを期待しているため、追い風なくして戦うことは考えられません。


ペリッパー (Day2)


20180722115201
気合いの襷
雨降らし
控えめ
136-×-121-160-91-117
4-×-4-244-4-252 (努力値)
塩水
暴風
追い風
守る

2度目の登場になります、ワイルドさんの「現実雨」。こちらから拝借させてもらいました。あまり得意ではないBo3のガルーラスタンを意識し、少しでもその不安を和らげようと、上の調整を真似させてもらうことに決めた次第です。一方、ルンパの調整はNAIC以前のものと変更していないため、それと並べたときにトレースポリ2と対面すると確実にCを上昇させてしまいます()




ルンパッパ


20180808121434
Z
すいすい
控えめ
155-×-96-156-120-122
×-×-4-252-×-252 (努力値)
ハイドロポンプ
エナジーボール
猫騙
守る

2枚目の雨エースポケモン。雨キラーとして選出されることの多いレヒレトリトドンに対応できるため採用しました。また、猫騙しでサーナイトのトリルをサポートできる点も評価できます。
守れるルンパッパを最初に使用したときとても画期的に感じました!その理由も併せてここからはルンパッパの「守る」について自分なりに解説させてもらいます。
WCS2015の時にメジャーであったチョッキ持ち4ウェポン型の流れからか、今年度ルールの環境初期までに見られた多くのルンパッパは、水Zを持ちながら、 ハイドロポンプor熱湯/エナジーボールorギガドレイン/冷凍ビーム/猫騙し という技構成で採用されていることが殆どでした。ダブルバトルでチョッキや襷を持たない(かつ蜻蛉帰りまたはボルトチェンジを覚えていない)低耐久のポケモンを守る無しで運用する……。このようなシビアなプレイングを要求するポケモンの扱いは自分にとって大変難しいことであり、雨パーティそのものの運用が苦手だった原因の1つでもありました。だからこそ、守るを覚えさせたルンパッパは、従来の4ウェポン型と比べ、水Zを使用するタイミングを含めてプレイングに幅が広がるなど、柔軟性の増した個体であり、自分でも簡単に扱うことができました!なお、冷凍ビームを除くとマンダが重たくなりますが、その弊害を避けるためラグに冷凍パンチを採用しています(ダブルの現環境にはHDマンダが多いため、仮に冷凍ビームを覚えさせていたとしても耐えてから返しの飛行打点を許す、つまりマンダから行動を制限される立場にあります)。
(語る必要があるのか微妙なラインではありますが)調整について。Bに残りの努力値4を振ることでカミツルギリーフブレードを確定で、オニシズクモの珠補正込みの虫食いを最高乱数以外で耐えられるようになります。しかしこの配分では、ペリッパーと横に並ばせた時に相手のポリ2がダウンロードで自身のCを上昇させてしまう可能性があり悩ましいです。




カプ・コケコ


20180808115819
拘り眼鏡
エレキフィールド
控えめ
145-×-105-161-96-182
×-×-×-252-4-252 (努力値)
エレキボール
放電
ボルトチェンジ
マジカルシャイン

雨パーティで相手取るには厄介なメガリザードンYやレヒレを髙火力電気技で叩いたり、ボルトチェンジで雨天候を取り返したりするコケコは、「雨サナツンデ」のような極度に前のめりな雨パーティを構成するうえでは欠かせないポケモンです。
10万ボルトや雷を切ったため奇妙な技構成のコケコになりました。元々は雷採用かつパメラさんのコケコと同じ調整にしていたのですが、H252/D4リザYをなるべくフィールド補正込み拡散放電の一撃で吹き飛ばすためにCS極振りに変更。
以下、放電とエレキボールについて解説します。
放電という技は、ライボルトコントロール (たいきさん)のパーティに加わっているレヒレやカグヤに対し、避雷針に遮られることなく大ダメージを与えられるため、今ルールの環境初期ではかなり活躍しました。現在の環境はかつてのそれと異なり、ライボルトコントロールトゲデマルが減っているらしいので、別の技に変えるのもありかもしれません。
フィールド補正込みの眼鏡エレキボールの火力は絶大で、少し削れたカビゴンを一撃で粉砕したり、ナットレイを大幅に削ったりと初見殺しには十分。後述の格闘Zツンデでそれらのポケモンの処理を期待できない場合、この技で突破することも多々あります。


カプ・コケコ (Day2)


20180808115819
拘り眼鏡
エレキフィールド
控えめ
155-×-106-151-98-179
76-×-4-180-12-228 (努力値)
放電
ボルトチェンジ
マジカルシャイン
目覚めるパワー炎

(こちらも今回2度目の登場の)パメラさんのコケコの調整を参考にしアレンジを施したものです。C161眼鏡レヒレムーンフォース、C182珠テテフのムーンフォース、C211リザYの晴れ補正込み火炎放射耐え、フィールド補正込みのボルトチェンジでH177レヒレを確定1発(それゆえ控えめ個体)、フィールド補正込み拡散放電でH252/D4リザYを乱数1発(50%)、そして最速110族抜き。ここまで耐久に厚くしたのは、世界最高峰のリザY使いMelvin Kehを意識して最低限の耐久を確保したかったのと、対レヒレ性能を耐久面で確保したい場面があると考えたからです。
NAICでHDカミツルギに何度も当たり苦戦した、避雷針+リザードンY(ウォーグル)の並びが多かったというケイさんの感想を受け、技構成を変更することに。やはり世界大会直前の国際大会だったということで、強く意識したのを覚えています。
役割破壊のめざ炎を採用するということで、元々は技の撃ち分けが可能で、かつ火力上昇補正の掛けられる命の珠を持たせていました。しかし、本来の役割対象(レヒレなど)へのダメージ量の低さと自ら調整を崩すことに嫌気が差したこと、そしてケイさんがよく分からない技構成の眼鏡コケコを使いこなせることから、持ち物を眼鏡にDay2前日、急遽変更し直してもらいました。




メガサーナイト

20180808120905
サーナイトナイト
フェアリースキン(テレパシー)
冷静
175-×-103-211-163-105
252-×-140-52-60-× (努力値)
Spe 24 (個体値)
サイコショック
ハイパーボイス
トリックルーム
守る

対雨ミラーを特に意識し耐久面で調整を施しました。雨補正込みのメガラグラージの滝登りやキングドラのZ濁流、ルンパッパのZハイドロポンプ、EF補正込みC161コケコのZ10万ボルト、パメラさんのメガゲンガーのヘドロ爆弾、晴れ補正込みC216までのメガリザードンYのオーバーヒートを耐えます(キングドラとルンパッパについては最高乱数切り耐え)。
S個体値24は、トリックルーム下で実質85族抜き(環境にいるほぼ全ての85属の個体がSに努力値を割いているため)、追い風下で最速135族とスカーフ75族抜き。サーナイトをトリル主体で運用する場面が多く、素早さを抑えておくとトリル下での動かしやすさに大きな違いが出ます(前述の無振りレヒレ抜きが最たる例)。
血迷った挙げ句、威嚇無しのパーティでメガサーナイトを使うことになってしまいました。その物理耐久の低さから当初は運用に自信がなかったのですが、猫騙しとサイドチェンジのおかげであまり困ることはなく安心しました。また、ツンデのサイドチェンジを使うと、ツンデ方向に飛んでくる特殊単体技や格闘タイプの技をうまく受けることができます。
ジャラやバレルへの圧力の違いから元々はサイコキネシスにしていたのですが、瞑想レヒレを意識して世界大会ではサイコショックに変更しました。
スキン特性の火力補正弱体化に加え、Cに割いた努力値の少なさもあり火力面で不安でしたが、他のポケモンの攻撃と重ねる際に支障が出ない程良い火力でした。




ツンデツンデ

20180722115227
格闘Z
ビーストブースト
勇敢
167-201-231-×-123-16
244-252-×-×-12-× (努力値)
Spe 0 (個体値)
ジャイロボール
馬鹿力
サイドチェンジ
守る

数人のプレーヤーから度々twitter上で言及される、画像がアップされるなどして晒されてしまった本構築のシンボルマークです。愛称は「箱」。ナットレイカビゴン、度々見られた日本晴れクレセ+ヒードランをも粉砕できるアタッカー。役割破壊の格闘Zだけでなく、タイプ一致技の火力の高さも持ち合わせているため腐りにくいです。また、トリル展開のサポートも不穏な技サイドチェンジでこなすことができます。
ツンデツンデというと、性格を寂しがりにしB個体値を下げることでBBAが掛かるようにする調整が有名ですが、勇敢でB個体値の下げていないものを採用しました。これはトリル下でナットの上を取ったり、カミツルギの聖なる剣を耐えたりするためのみならず、対メガクチートをツンデに任せる盤面があり得ると判断したからです。
このポケモンはタイプ的に見て脆く、最初に公開されたときは目もくれなかったのですが、使用していく中でその攻撃性能の高さと極端な遅さというポテンシャルに驚きました。特にジャイロボールの火力は持ち物や手助けの補正なしでも絶大。威嚇を入れに後投げされたランドロスを大幅に削ります。
技枠が足りず岩雪崩を切っていますが、ごくたまにいるリザYをトリル下で上手く運用する(やや荒い立ち回りを仕掛ける)プレーヤーと対戦する時を除き、弊害が出たことは殆どなかったです。……と思っていたのですが、オニシズクモを相手取る時はやはり欲しかったですね。
また、弱点から来る脆さが目立つ一方、実は耐性が多くサイドチェンジとの相性は極めて良好だと思いました。この技を使うと、メガサーナイト方向に飛んでくる毒や鋼タイプの技、高火力の物理技、トリル展開阻害の挑発を代わりに受けられます。エルフーンのアンコールからサナを守りながらメガゲンガーエスパー技を通す、といった使い方をしたこともありました。




選出

レーティングやpjcsのオンライン予選はBo1形式であるため、以下の選出のうちのどれか1つを選択するだけで済みますが、先述の通り、海外の大会は予選からBo3形式です。そのため、相手のパーティや選出に応じて以下に挙げる選出を使い分けて戦っていきます。

1. 雨選出
先発 f:id:ykhr7:20180615134948p:plain+f:id:ykhr7:20180615135001p:plain
後発 f:id:ykhr7:20180615135027p:plain+f:id:ykhr7:20180615135039p:plain

水技の通りがよい場合の投げ方です。他にも、バンギラスが同居しないもののトリトドンが加わるメタグロス軸に対し基本的にこの投げ方をします(択が発生しやすくあまり心臓に良くない試合になりがち)。
またスカーフランドとリザYの並びに対してもこの選出をします。猫騙しでリザYを止めながらペリッパーをコケコに下げることで、相手のランドを大地の力以外で拘らせつつ(とんぼ返りでも構わない)、次のターンにはリザを縛り次のサイクルにまでつなげます。


2. 対リザYスタンなど
先発 f:id:ykhr7:20180615135314p:plain+f:id:ykhr7:20180615135325p:plain
後発 f:id:ykhr7:20180615135402p:plain+f:id:ykhr7:20180615135416p:plain

リザY軸に組み込まれているランドがスカーフでないとき、もしくは詳細の掴めていないリザYスタンと初戦を交える際にこの選出をします。リザY入りのパーティと戦うと天候合戦において不利になりがちですが、ルンパの猫騙しとコケコのボルトチェンジでこれを制しにいくプランです。


3. トリル選出
先発 f:id:ykhr7:20180615140008p:plain+f:id:ykhr7:20180615140031p:plainorf:id:ykhr7:20180824175113p:plain
後発 f:id:ykhr7:20180615140103p:plain+f:id:ykhr7:20180615140156p:plain

ナットレイメガラティアス、メガフシギバナが入ったパーティ、雨ミラー、カミツルギの入ったリザYスタン、マンダスタンを相手取る時はこの選出です。
トリル起動後、即座にサナツンデの並びで一気に制圧していきます。格闘鋼フェアリーの攻撃範囲は広いですが、リザYには通りづらいのでペリッパーが肝となります。また、トリルが切れる直前にペリッパーで追い風展開を狙うことも。
バンギラスの加わったテテフグロス軸と初戦を迎える場合も実はこの投げ方(初手サーナイトとコケコ)です。1ターン目はコケコがテテフ方向へボルトチェンジサーナイトが守る。2ターン目はボルチェンによって場に出たツンデがサイドチェンジ、サーナイトトリックルーム。この動きは、メタグロスが雨展開を前に選出され辛いことを利用したものであり、2ターン目のサイドチェンジはテテフからサーナイトへの挑発やサンダーの吠えるを対策したものです。それに初手でテテフと対面するとルンパッパが完全に腐るから、という理由もあります。


4. 雨サナ追い風展開
先発 f:id:ykhr7:20180615142127p:plain+f:id:ykhr7:20180615142158p:plainorf:id:ykhr7:20180615142230p:plain
後発 f:id:ykhr7:20180615142245p:plain, f:id:ykhr7:20180615142258p:plainorf:id:ykhr7:20180615142307p:plain

追い風を使ううえで、ラグよりもサナの方が通りがいい(グロスはいないもののトドンが入ったようなパーティなどを相手にする)場合の投げ方です。なお先述の個別解説にもありますが、サナは追い風状態で最速135族(メガライボルトメガミミロップ)抜きです。


5. スイッチトリル
先発 f:id:ykhr7:20180615142127p:plain, f:id:ykhr7:20180615142158p:plainorf:id:ykhr7:20180615142230p:plain
後発 f:id:ykhr7:20180615142245p:plain+f:id:ykhr7:20180616011210p:plain

対トドン入りテテフグロスなどの時の投げ方。トドンやメガバンギが入ったそのパーティからグロスが選出されることは少ないため、サナが割と刺さります。面倒なトドンのルンパ以外での処理ルートとして、サイドチェンジでツンデを残しながらハイパーボイスでダメージを蓄積させ格闘Z圏内に押さえ込むやり方もあります。


6. 対メレラキ
先発 f:id:ykhr7:20180615142357p:plain+f:id:ykhr7:20180615142407p:plain
後発 f:id:ykhr7:20180615142445p:plain+f:id:ykhr7:20180615142435p:plain

ルンパの猫とコケコのボルチェンのどちらかでメレシーの頑丈を潰しながらツンデを投げ、相手の展開したトリル下でガードシェアを使うメレシーを優先して倒します。あとは任意のタイミングで必中であるツンデの格闘Zと雨下のペリの暴風を合わせてラッキーを落とします。丸くなるには気を付けましょう。なお2匹目のガードシェア要員、ツボツボが後ろから投げられた場合はほぼ負けなので降参します()




雑感


このパーティの天敵

hiromoti.hatenablog.com
上に挙げたカ・エールさんのカビクレセ構築やガルーラレヒレピッピの並びなどが挙げられます。
特に「ヒョイヒョイカビクレセ」に関しては、S7のレート戦や、INC Januaryの1700帯後半の戦い(この負け試合でカ・エールさんの予選1位が確定)、オセアニアインターナショナルの予選抜けを懸けた最後の試合とことごとく立ちはだかってきましたが、択を制することができず勝てませんでした。サイドチェンジが絡むとカビやナット(2体同時選出されることさえあり得る)の処理は非常に厳しくなります。


単体で厳しめの相手

このパーティは殆ど受けに回れないため、一貫性が高く火力のあるブルルやギルガルドの攻撃が厳しいです。上からの圧力で殴られる前に潰す、行動を躊躇させるといったやり方でそれらのポケモンをごまかしているので、改良するのであればその点だと思います。
またこのパーティは立ち回りに慣れてきた頃ですら、油断するとトリル下・非トリル下に関わらずレヒレに詰まされます。その点も留意すべき弱みです。


威嚇ガオガエンの解禁について

自分はその頃から再び実機を没収されることになってしまったためあまり詳しい訳ではないのですが、3月頃にこのポケモンが解禁されたらしく環境に一気に台頭してきました。
この環境の変化はラグとツンデにとってはやや向かい風でしたが、次に挙げるリターンの影響の方がはるかに大きく、結果として雨サナツンデの追い風になりました。

  • 雨パーティの通りがそれだけ良くなった
  • まさしく天敵中の天敵、カ・エールさんのパーティ「ヒョイヒョイカビクレセ」が大幅に減少した
  • リザY軸の通りが悪くなりその数を減らした



信じられないくらい長い記事でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました!f:id:ykhr7:20180722100205p:plain