【WCS2019 Moon Series】 INC February パルカニオーガ
はじめに
SDで調子がすこぶる良かったものの、友人に借りた実機で潜った本番のINCでは奮わなかった構築について書いていきたいと思います。
構築名は「猿蟹合戦」をもじって付けました()
また、構築の出来が満足のいくものではなかったため、選出等については省かせてもらいます。
構築紹介
環境の雑感と構築経緯
ムーンルールが始まった当初、前回のサンルールに引き続く形で環境が作られていました。具体的に言うと、トルネオーガやグライベルが増えており、新たに解禁されたZ技を備えたルナアーラもよく見かけました。
その後、イベゼルネや地面zランド、グラゼルネが数を一気に増やし、グライベルの殆どが淘汰され、環境から消えていくことに……。
そして、ほぼ同時期に開催されたDallas Reogionalや日本の某オフ会にて、sd上位に居座っていたリザードンやウルガモス入りの構築が結果を残し、一気に増えていきました。
ここまでの間、壁展開を含むソルゼルネや、ガモス入りのグラゼルネ等をよく使っていたのですが、対グラゼルネやルナゼルネに苦戦しがちだったので、方針を変えることに。
エレキネットや追い風に頼るグラゼルネに対し、トリルからオーガにうまく繋げることができる構築を作れば勝ちやすいのではないかと考え、当初はトリルルナオーガに手を出していました。
ルナアーラは高い耐久・攻撃性能を持つことから、初手に投げた時の安定感は素晴らしいですし、トリルもキッチリ起動してくれるのですが、最大の課題、ルナアーラミラーをどうしても解決することができませんでした。カシブを持たせフリーフォール持ちチョッキコケコ等を横に並べても、相手の追い風軸のルナコケコや、サイドチェンジテテフ入りルナアーラ、相手のトリルルナアーラ等、どうしても対面で不安定となる組み合わせで投げられることが多く、ルナアーラ以外の勝ち方も模索したのですが、自分には厳しかったです。
そこで、ルナアーラやイベルタルに弱くなく、グラードンやカイオーガに圧力を掛けられるトリル要員を探した結果、パルキアに行き着きました。もちろんパルキアの苦手なポケモンとしてゼルネアスが挙がりますが、その素のムーンフォースを耐える程度に耐久を調整すれば、様々な敵を前にしてトリルを張ることができます。
トリル要員ではありますが、sを下げることなくプレッシャーを初手で発動させると、相手のグラードンやガオガエンに上から水Zを叩き込ませるような威圧感を与えて、トリルを張る隙を生み出すことができる点を特に評価しています。また、環境に増えていたWolfeのパルオーガに偽装できるところもありがたかったです。
しかし、ゼルネアスと対面すると、十中八九、パルキアのプレッシャーより相手の特性フェアリーオーラから発動するため、トリルを疑われるのが痛いところ。この特性発動順を見て、ゼルネアスにジオコンを先に積ませようとするプレイヤーと、ムーンフォースからパルキアを殴って来るプレイヤーで、経験上、五分五分に分かれていました。
そこでパルキア以外にトリルを張ることができ、大抵のガエンゼルネに後だしから間に合うツンデツンデを採用することにしました。
ここまででパルキア、カイオーガ、そしてツンデツンデが確定しましたが、重たいカミツルギ等の物理アタッカーから味方を守り、すぐに後続のトリルアタッカーに繋げられるポケモンが欲しいということで、脱出ボタンガオガエンを選択しました。
残りのカプ・コケコとケケンカニですが、
コケコについては、環境に多くいたチョッキイベルタル、チョッキドクロッグ、ホウオウ、HDガオガエンを不意の一撃で飛ばせるよう物理Z型で、
ケケンカニは、トリル後の草タイプやディアルガ等を処理するための第2のエースとして(当初は適当に)採用しました。
個別解説
最遅に設定したHC特化型カイオーガです。
技構成は、最大火力となる潮吹き、体力が削れても一定の火力の出る単体水技の熱湯、ミラー意識の雷、そして体力を管理する等の目的での守る、となっています。
メインのトリルアタッカーということで、重しを持たせて相手のガエンやネクロより速く動かし、潮吹きの火力を高く保たせておきたかったのですが、そのようにすると、後述の(第2のトリルアタッカーである)ケケンカニとともに、後攻蜻蛉返りやボルトチェンジからでしか出せないうえ、トリルを起動する前のパルキアの水技の火力を上げるために後出しし辛くなることから、それらを解決するために泣く泣くピンチベリーを持たせました。
(この時点で本構築の欠陥ぶりが滲み出てますね)
ムーンルールは、上向きのs操作やサイクル戦を特徴とするグラゼルネ系統のパーティと、追い風やスカーフを軸に上から攻撃してくるトルネオーガ、ルナゼルネなど、トリックルームとは逆の性質のs操作技を備えたパーティが多く、それらに有利をとりやすい遅いオーガはとても強力でした。
グラカイやガエンに圧力を掛け、ルナやイベル、ルンパオーガに押し負けない、そしてフリーフォールで妨害されないトリル要員。高い特防と優秀な耐性をもってトリックルームを起動します。また、ピンチベリーを持たせているため、一度体力が削られるとファントムガードを失うルナアーラとは異なり、再度トリル展開を図りやすいのも特徴です。
雨天候の下でグラやガエンを一撃で倒せるハイドロポンプ、そしてタイプ一致技の亜空切断(概ね当たる主力技)をメインウェポンに選びました。電気や炎、氷といった様々なタイプのサブウェポンを覚えられる点もパルキアの強さではありますが、そのような攻撃範囲は毛ガニやコケコに任せ、タイプ一致による等倍の火力を優先しました。しかし、両技共に命中率に不安を抱えていますからオススメはしません()
- H-B:
- 222グラードンの75%断崖の剣を確定耐え
- H-D:
- 残り
- S:
- 最遅98族抜き、無振り75族抜かれ
相手のガエンより先に猫騙しを撃ち、トリル起動後は後攻蜻蛉返りを決めるためSは高めに設定。またパーティ全体を見ると、地に足の着いたメンツで固められていることから、少しでもグラに対して延命できるようH-B基調に調整しています。
脱出ボタンについて。本構築の2体のトリルアタッカーは後出しに向かないことから、蜻蛉返りの他に脱出ボタンを持たせることで、それらを無傷のまま場に送りだし易くなります。さらに脱出ボタンは、蜻蛉返りとは異なり、1ターンの間に猫騙しを決めつつ味方に引くことが可能となるため、限られたトリルターンを有効に使うのに大きく貢献してくれます。環境中にバークアウトを覚えたガエンがそこそこ多かったこともあり、猫騙し+脱出ボタンの発動という一連の動きはよく決まりました。
最後に悪技の叩き落とすについて説明します。脱出ボタンを持っていることから、このガエンが場に残る時間はあまり長くなく、前述の通り、敵の攻撃をなるべく受けたくないトリルアタッカーが裏に控えていることが多いため、相手の火力を削ぐバークアウトより、ルナアーラへの打点がより大きく、場合によっては敵の突撃チョッキを除いてオーガの攻撃を通しやすくなる叩き落とすの方が適当だと考え採用しました。
- A:
- H-B:
- H-D:
まず、ケケンカニとはどういうポケモンなのか。毛ガニについて綺麗にまとめてあるへきさんのツイートを、許可を頂いたので、以下に掲載させてもらいます。
ケケンカニ雑感
— へき (@katamariiiiii) 2018年10月30日
トリルオーガの苦手な部分かなり潰せるのは素晴らしい pic.twitter.com/FxhgRB76AV
上のメモの内容をまとめると、ケケンカニとは、トリルオーガで突破し難い草や鋼タイプに強く、威嚇が効かない超鈍足アタッカー、ということです。しかし、氷と格闘の複合タイプであることから耐性が乏しく、元々の耐久値も高くないことから、後出しをしたり受けに回ったりするのが非常に苦手です。つまり、体力が削れると潮吹きの火力が下がるカイオーガ同様、場に投入するタイミングを図るのがとても難しく、欠点として、短いトリルターンを上手く活用し切れない可能性があります(その点は後述の脱出ガオガエンで解決しています)。
さて、本構築の毛ガニについてですが、重しを持たせることで、トリル下でナットレイやモロバレルよりも速く動いたり、相手のツンデツンデからのジャイロボールの火力を下げたりしました(以前はチョッキドクロッグやディアルガを一撃で葬るために命の珠を持たせていましたが、それ以外の役割対象に対しては確定数が変わらないことが多かった)。味方のカイオーガの潮吹きを通すため、厄介な敵を上から一撃で倒せる点は評価できますが、トリルターン中に毛ガニとオーガを並べること自体難しく、やはり課題が多かったと今振り返ってみても感じます。
なお、ワイドガードは、トリルの切れた状態でコケコを通したり、再度トリルを使ったりするために採用しましたが、殆ど出番がありませんでした(雨乞いや投げ付けるをこの技枠に入れていたこともあります)。
- A:
- エレキフィールド込みZワイルドボルト 200-113ガオガエンまで確1、196-120パルキアを81.3%で確1、205-116ゼルネアスを75%で確1
- フィールド込みワイルドボルト 207-112カイオーガまで確1、176-136レヒレを最低乱数切り確1
- H-B:
- H-D:
- S:
- 最速111族抜き(180)を抜く
HDガエン、チョッキイベルタル、チョッキドクロッグ、壁レヒレなどの厄介な敵を不意の物理打点で一掃するコケコです。トリルオーガ軸に組み込むため、耐久を底上げし、トリル状態での後攻ボルチェンを決めやすいチョッキを持たせるかどうか悩みましたが、前述のポケモンたちの突破手段が乏しかったので、電気Zでの採用を優先しました。また、相手のオーガを睨んだり、催眠対策をしたりする役割もあります。
調整は、物理方面は日本の某強プレイヤーさんのものを、特殊方面は南米プレイヤーAgatiが教えてくれたものをそれぞれ参考にし、HDガエンをZワイルドボルトでギリギリ倒せる範囲で配分。
技は、主力のワイルドボルト、少しでも交代際にクロバットやトルネロスを削るボルチェン、そしてゼルドーの並びに起点にされないための挑発を選びました。
- H-D:
- 189ルナアーラのムーンライトブラスター確定耐え